
有力な販路から声がかかったとき、
その商品は誰のブランドとして存在すべきか
農業・食品加工(商品・ブランド)/一部非公開
当初の状態・迷い
既存の商品として、ミニトマトジュースはすでに存在していた。
品質・評価ともに一定の実績があり、既存販路での販売も継続していた。
その中で、有力な販路から
「この商品を自社向けに採用したい」という相談が持ち上がった。
提案内容は、既存商品をベースに、
取引先の名前・ロゴを入れた“専用商品”として展開する、という一般的な選択肢だった。
疑った前提・問い直したポイント
●その商品は「誰のブランド」として存在すべきなのか
●販路の要望に合わせて名前や立場を変えることは、生産者にとって本当に価値を残す判断なのか
●一時的な取引成立と、中長期での事業価値向上は両立できるのか
「採用されること」自体を目的にしていないか、という前提を疑った。
再定義した判断軸
この取り組みでは、「どの名前で売るか」ではなく、「どの立場で存在させるか」を判断軸に置いた。
●商品は取引先の“私物”にはしない
●既存商品とは異なる文脈で扱う
●販路を限定することで、価値の説明と意味づけを明確にする
商品そのものを変えるのではなく、
事業としての立ち位置を分 けるという判断を行った。
ネーミングの位置づけ
新たに「茜」という名前が必要になったのは、商品を差別化するためではない。
既存商品とは異なる判断軸でこの商品を成立させるために、
名前を分ける必要が生じた結果としてネーミングが行われた。
その後、商標登録を行い、事業としての独立性を担保した。
その後の変化
●既存商品は、これまで通り既存販路で販売を継続
●「茜」は販路を限定し、特定の文脈でのみ提供
●商品説明も「味」や「製法」ではなく、位置づけと考え方を中心に整理
●関係者への説明も、「なぜ分けたのか」「なぜ限定なのか」を事業判断として共有する形に変わった。